カイザーベルク びわ湖 BLOG

気になるバイクをピックアップ!vol.6

こんにちは。カイザーベルクびわ湖 支配人の岸です。
今日は話題の川崎重工グループの総力を挙げて開発されたあのバイクのご紹介です!
 
GWの最終日、見た事の無いモノアイのバイクと共にカイザーベルク三河・寺部海岸でお世話になった常連のお客様がご来場されました。
 
一瞬何のバイクか判らず、「前回と違うSSっぽいバイク...何のバイクを買ったのかな?」
 
そして私の横を通過したした瞬間...
 
「!」
 
「あっ!H2だ♪」
 
今回はツーリングの途中で、休憩もかねてお披露目にご来場頂きましたので早速取材させて頂きました。
 
【カワサキ・Ninja H2/レッドバロン桑名のお客様】
 
こちらのバイクは2013年の東京モーターショーでスーパーチャージャー付の試作エンジンが発表され様々な憶測が飛び交い、「YouTube」で情報が小出しに公開されていき、昨年ついにインターモトでベールを脱いだ史上最強のニンジャ!
 
カワサキのスポーツブランド「ニンジャ」の名前に加えて、70年代に当時世界最高のパワーで「じゃじゃ馬」と呼ばれたマッハシリーズのフラッグシップモデルに与えられていた「H2」のダブルブランドを与えられた新しいSSのフラッグシップバイクです。
 
そしてこのバイクには「フライングK」マークではなく「リバー(川)マーク」が奢られています。
 
 

RIMG1178.JPG

 
※「リバーマーク」とは創業者の川崎正蔵が貿易のビジネスを始めた際に川崎の川の字をモチーフとして作ったシンボルで川崎重工の社章となっており、1960年代後半まで使われていた元祖カワサキロゴ。
 
現在ではカワサキのテクノロジー・オリジナリティー・革新性を表すマークとして市販製品に採用されることは稀で、後々まで語り継がれる歴史的な製品にのみ使用されるものです。(下の写真は当施設入口のミニミュージアムに飾ってある1969年モデルの250A1 SAMURAIのもの)
 
 

RIMG1559.JPG

 
その正体が判明するまでに海外ではガンダムっぽい(きっと「ミドリ・モノアイ・フィンダクト」でモビルスーツのザクやガンダムの連想に繋がったのでしょうね)とか、ダースベーダ―っぽいと言われていたのですが、こちらが噂のNinja H2!
 
 

RRIMG1166.jpg

 
どうですか?
 
明らかに今までのカワサキのバイクとは違う造形ですよね。
 
ミラーの仕上げの塗装はH2の為に特別に開発された「銀鏡塗装」というものでカラー名は「Mirror Coated Black」といいます。
 
化学反応で得られる銀レイヤーを職人の手作業で塗装するという特殊塗装で、暗い所では黒く、明るい所は鏡のように色調変化するので、写真だと当施設の木々が写り込みこのような感じになります。
 
シートカウルに光るロゴを撮影してもこの通り撮影者が写ってしまいカメラマン泣かせ(笑)
 
 

RIMG1162.JPG

 
そしてこの車両を横から見ると、まず目につくのは今までのカワサキのSSにはなかったライムグリーンカラーのスチールで組まれたトレリスフレーム。
 
今まではモノコックフレーム(ZX-12RやZX-14Rなど)や、独自三角配置のバックボーンフレーム(先代のZX-10R)、もしくは一般的なツインチューブフレーム(新型ZX-10R)だったのですが、放熱対策(アルミフレームなどに覆われず開口部が広い)・設計の自由度の高さ(モノコックに比べ強度計算もしやすく設計が容易)・しなやかで外乱に強い(フレームがしなり力を受け流してくれる)という理由で採用されているそうですが…バイク乗り的表現で表すなら「ドゥカティみたいでカッコイイ!」の一言。(笑)
 
狙っている訳ではなさそうですが、鏡面ボディーの中にグリーンのトラスが映えてデザインのアクセントになっていました。
 
またアッパーカウルのチンスポイラーを始め、車体サイドの整流板などのエアロパーツにむき出しスーパーチャージャー付のエンジンという、こちらも今までのバイクとはまた違った雰囲気。
 
 

RIMG1157.JPG

 
エンジンのクランク上部に、このバイクに怒涛の加速力を与えるアイテムのスーパーチャージャーが!
 
正直な感想としてはもう少し大きいものを想像していましたが恐ろしくコンパクト...それは何故かというと四輪で使用されている2個のローターで空気を圧送するルーツ式ではなく、航空機のエンジンなどに使用されているセントリーフューガル式という機械駆動の遠心式を採用し高効率設計で熱の発生を最小限に抑えたことでインタークーラーも必要としなかったからだそうですが、このサイズのエンジンにまとめてくる技術力はスゴイなぁと思いました。
 
そしてこのスーパーチャージャーは四輪で使用されているルーツ式(高回転域では機械抵抗が大きくなりパワーが伸びない)に比べて高回転域でのパワーの伸びに優れており、毎秒200Lの空気を圧送できる能力(=1秒でドラム缶1個分の空気が送れる)があるそうですからスゴイですよね。
 
 

RIMG1161.JPG

 
車体に目を向けると、カッコイイ星形スポークのアルミキャストホイールには強烈なパワーを受け止めるために量産車としては最高グレードのH2仕様となるΦ30㎜同径4ピストンのブレンボキャリパーにローターの厚みが5.5㎜、Φ330㎜というブレンボのセミフローティングディスク。
 
KYBのΦ43㎜の「AOSⅡレーシングサスペンション」が採用されたフロントフォーク...
 
 

RIMG1164.JPG

 
車体の左側にまわってみるとクラッチのレリーズもブレンボがついていたり、カワサキ車では初となるクイックアップシフターまでついており...
 
 

RIMG1163.JPG

 
カワサキの開発した量産車として初めてのABSコントロールユニットとエンジンをコントロールするECUをリンクさせることで高度な車体コントロールを行なうKIBS(Kawasaki Intelligent anti-lock Brake System)も装備されていました。
 
 

RIMG1165.JPG

 
シートで気になったのはその形状。
 
通常のシートと違い強烈な加速に対応するためかサイド部分がサポートする形で立ち上がっており...
 
 

RIMG1159.JPG

 
またその造形も翼のような形状になっていて後ろから見るとこんな感じ。
 
恐らく空力面の何かを兼ねているのかもしれませんね。
 
お約束のテールの光り方ですが、H2ではサイドが赤で真ん中はクリアという一風変わった配置。
 
 

RIMG1167.JPG

 
どのように点灯するかというと通常のスモール時はサイドの赤レンズ部が光り...
 
 

RIMG1170.JPG

 
ブレーキ時のみ真ん中のクリアレンズ部分が光るという仕組みになっており外車の四輪などと同様に点灯していない部分が光るというのは後続車がブレーキングに気づきやすくまた判りやすいのでカッコイイだけでなく安全面でも良いのではないでしょうか。
 
 

RIMG1171.JPG

 
次にマフラーですが、レーシングバージョンのH2Rと違い大容量の大型サイレンサーが装着されておりテールパイプ部はまるでロケットの噴射ノズルのような綺麗なエンド処理が施されておりメカニカルな雰囲気が抜群!
 
 

RIMG1168.JPG

 
フロントフェイスは特徴的なLEDのモノアイの下の白い部分はスモールになっており、左側(写真では右側)には吸気口が大きく口を開け、逆側はフィンが配置されていて(H2Rでは吸気口・H2ではLEDユニットやECUが中に入っているそうです)正義のヒーロー顔というよりかはシャープな顔つきの悪役顔と言ったところでしょうか。(笑)
 
 

RIMG1177.JPG

 
ミラーは上の写真を見て頂くとわかると思うのですが、羽根と言っても差し支えないほどに翼断面形状!
 
ZX-12Rのミラーを見た時もかなりの衝撃でしたが、こちらは更に上を行くもの...
 
今回取材に協力して頂いたお客様の話では「ミラーが恐ろしく固い!」との事。
 
どれどれ?と触らして頂きましたがちょっと力を入れたくらいでは動きません。(可倒式)
 
きっと風圧に耐えられるように設計されているんでしょうが、私主観でこちらの固さもカワサキ最強のミラーでした♪
 
 

RIMG1175.JPG

 
そしてぐるっと車体を一周して気づいた事は、ナンバー灯以外は全てLEDになっていたということです。
 
省スペース、省電力、長寿命、高輝度のLEDというのはバイク向きですから、普及するのは時代の流れなのかもしれませんね。
 
最後にメーター周り。
 
左側にはウィンカー・ホーン・ハザードの他に多機能メーター操作用ボタン・右側にはヤマハのMT-09などに採用されているキルスイッチ兼スタータスイッチ(真ん中の位置からスイッチを下に下げるとセル・上に上げるとキルになるスイッチなので場所も取らない上に、キルスイッチが入っていてパニックならない新型タイプ)とKTRC(Kawasaki TRaction Control) のモードスイッチが配置されアッパーブラケットにはライムグリーンにアルマイト仕上げされたキャップが光り、その上にはオーリンズと共同開発されたという電子制御ステアリングダンパーが鈍い光を放っており...
 
 

RIMG1156.JPG

 
メーターもまたモノトーンで...以下略(笑)
 
メーターは16000rpm回転スケールのタコメーターにギアポジションやKTRCの表示などの一般的な機能表示に加えて過給器付きバイクH2ならではのブースト圧や吸気温度なども表示されるようになっていましたが…
 
 

RIMG1169.JPG

 
こちらのメーターで気になったのはタコメーターの作動ギミック!
 
メーターの数字は5時の方向に0があり4000rpmまでは細かい刻みでそこから上は2000rpm毎の大きな通常の刻み。
 
針が通過したところだけ下の写真のように数字が点灯するという新しいパターンの視認性の良いものでした。
 
 

Rh2.jpg

 
※作動中の写真が撮れなかったので別車両の画像になります
 
【スペック】
 
排気量:998㏄
 
最高出力:200PS/11000rpm(ラムエア加圧時:210PS)
 
最大トルク:14.3㎏-m/10000rpm
 
車両重量:238㎏
 
燃料タンク:17L
 
こんな感じでいままでのカワサキ車のセオリーとは違う流れのバイクで、昔のようにレースに出る為にホモロゲーションモデルを販売するという類のスペシャルバイクではなく、車両を見るとメーカーの技術力を世に知らしめる・究極のものを作りたい・開発した技術を市販車に生かすという考えが生んだバイクだということが良く分かりました。
 
そして車両本体のお値段は270万円と高額ですがお値段以上の価値を見いだせるバイクではないでしょうか?
 
新規予約・入荷予定の確認はお近くのレッドバロンにお問い合わせ下さいね。
 
 
 
ちなみに余談ですがヘルメットホルダーはありませんのでご注意を!
 
今回取材させて頂いたお客様は、S字フックを利用されてました。これは良いアイデアかも(笑)
 
 

RIMG1155.JPG

 
ということで今回はここまで!次回もお楽しみに。

バックナンバー