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気になるバイクをピックアップ! スズキ・ハヤブサ1300(2021年式)後篇

みなさんこんにちは。カイザーベルク御宿・月の沙漠支配人の脇阪です。

今回は、「気になるバイクをピックアップ!」第3回となるスズキ・ハヤブサ1300(2021年式)の後篇をお送りします。

後篇では主にハヤブサ1300のメカニズムに関してご紹介します。

最初は高級感あふれるハヤブサ1300のメーターからご紹介します。

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ハヤブサと言えば歴代続くアナログ4眼メーター(左から燃料・回転数・速度・水温)が特徴ですが、電子制御化・多機能化が進みオール液晶表示がトレンドと化しつある昨今の大型バイク界隈でもその流れに乗ることはなく3代目のハヤブサ1300でも歴代と同じ意匠のアナログ4眼メーターを採用しております。

ただ、このハヤブサも多機能化しており、アナログメーターだけでは正確に車両の状態を把握できないのでセンターには高精細なカラー液晶ディスプレイを設けております。

しかしそこも、通常の表示状態では先代のセグメント液晶ディスプレイと同じ様な円形のデザインが表示されるというこだわり様です。

この液晶ディスプレイには下部にオド・トリップ1/2・平均燃費1/2・走行時間1/2・電圧・瞬間燃費・航続可能距離を表示することができます。

時計・外気温はメーター上部に表示されます。

円形デザインと共に中央部に表示されるのはギアポジションと、「SDMS-α(スズキドライブモードセレクターα)」のモードとそれに応じたエンジン出力特性・トラクションコントロールの効き具合です。

それらのメーターはこの左右のハンドルのスイッチで行います。

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右はキル/スタート併用のスイッチとクルーズコントロールシステム作動スイッチ、ハザードランプスイッチがあります。

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左は通常のライトハイ/ロー切り替えスイッチ、ウインカースイッチ、ホーン、パッシングの他、ディスプレイ操作や各種設定用の複合ボタンが設けられています。

次はエンジンとフレームについて触れましょう。

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先にフレームに関して解説します。

フレームはハヤブサ1300伝統のオーソドックスなアルミツインスパーフレームで、重量級の大パワー車であるハヤブサの走りを支える堅牢な造りとなっています。

見るからに頑丈そうなスタビライザー付きスイングアームも含めて、実は先代からそう大きく変わってはいないのですが、これは元々の設計が十分優れた余裕のあるものだったからと言えるでしょう。

ではエンジンに関してですが、熟成された排気量1340㏄(ボア81×ストローク65㎜)の水冷並列4気筒DOHC4バルブエンジンを引き続き使用しています。

しかしながら中身は大幅に組み替えられており、ピストンやクランシャフトやカムシャフト、そしてミッションといった部分は全て作り直されています。

もちろん、固定パーツであるシリンダーヘッドやエアクリーナーボックス、エキゾーストパイプも刷新されています。

また、電気信号で動く電子制御のシングルスロットルバルブが採用され、より緻密なエンジンコントロールができる様になりました。

で、時代に合わせて従来型を踏襲しつつも全面的な刷新が図られたエンジンですが、エンジンスペックに関しては最高出力は188ps/9700rpm・最大トルクは15.2㎏-mと実は先代よりも低くなっていたりします(2代目は197ps/9500rpm・15.8㎏-m)。

これは3代目の現行ハヤブサは日常・公道ではまず使うことのない最高出力発生回転数近辺の性能よりも、実際使うことが圧倒的に多い低中回転域のドライバビリティ(運転しやすさ)に重きを置いたからと言われています。

事実、最高スペックの数字は落ちていますがそれではわからない低中速域のトルクは増加しており、さらに走行中急激に加速の勢いが変化したりするようないわゆる「トルクの谷」も大幅に解消されています。

これにより高速道路走行時の追い抜き加速がギア固定のままさらにスムーズに行えたり、また2人乗りしていてもギクシャクすることなくより楽に発進できます。

こういった変化はスポーツバイクとしても重要なことで、例えばサーキットやワインディングなどの低速コーナーからの立ち上がり加速に大きく影響してきます。

こういった動きは四輪でも存在しており、たとえば現行型のスバル・WRX S4やかつてのホンダ・S2000が排気量を上げて最高出力を落とした代わりに運転のしやすさを大きく向上させた車としてよく知られています。

次に、ハヤブサ1300のハイテク装備に関して紹介します。

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2代目のデビューから13年後に登場した3代目ハヤブサはその間に進化したバイク技術(電子制御スロットル・6軸IMUなど)をふんだんに取り入れ、孤高のハイパフォーマンスマシンをより扱いやすく、また自分好みに仕上げられる様に様々なハイテク装備が取り入れられています。

スズキはそれらのシステムを「スズキインテリジェントライディングシステム(S.I.R.S)」と称し、多岐にわたる電子制御の装備とそれらのセッティングを可能な状態にしております。

主な設定項目として

・3段階の出力特性切り替えができるパワーモードセレクター

・シフトチェンジ時にスロットル/クラッチの操作を不要にする双方向クイックシフトシステム(効き具合を2段階+オフで変更可能)

・エンジンブレーキの効き具合を3段階+オフで選択できるエンジンブレーキコントロールシステム

・リアタイヤのスピンを検知し、安定したライディングに寄与するモーショントラックトラクションコントロールシステム(効き具合を10段階+オフで選択可能)

・急加速時のウイリーを抑制するアンチリフトコントロールシステム(効き具合は10段階+オフで選択可能)

といったものがあります。

操作に慣れないうちは「たくさんあってどれをどうしたらいいのかわからない」という方も多いと思いますが、これらは「SDMS‐α」と呼ばれる車両総合セッティングモードの切り替えによって一度にすべて切り替えることができます。

ハヤブサ1300にはそれぞれセッティングの違うSDMS-αのモードがあらかじめ3つ登録されていますが、それ以外にも各々の好みで各セッティング項目を設定したユーザー登録モードを3つ記憶させることができます。

このハヤブサ1300を手にしたらぜひとも使いこなしてハヤブサを心行くまで楽しんでみたいものですね。

ちなみにパワーモードは「1(最強)」を選ぶと空ぶかしでも恐ろしい勢いでタコメーターの針が跳ね上がりますが、「3(最弱・雨天/街乗り向け)」にすると明らかに吹け上がり方がおとなしくなります。

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それ以外にもハヤブサ1300にはハイテクを活かした各種機能が設けられています。

・サーキット用の、停車状態から安全にフル加速を行うことができるローンチコントロールシステム

・設定した速度以上のスピードを出せなくするアクティブスピードリミッター

・スロットルグリップを放しても設定した速度で走行し続けるクルーズコントロールシステム

・登坂路での発進時、リアブレーキをかけて安全な坂道発進を促すヒルホールドコントロールシステム

・走行状況/路面状態などに応じて適切なABSの作動を行うモーショントラックブレーキシステム/スロープディペンデントコントロールシステム

などなど、公道の走行からサーキットなどの非日常場面まで広い範囲で役立つ様々なものがあります。

最後に、ハヤブサ1300のキーをお見せします。

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ハヤブサ1300のキーはデザインこそ他のスズキ車と同じですが、通常スズキの「S」マークがつく部分には「隼」の文字が入れられ、専用のものとして与えられております。

ハヤブサ1300がいかにスズキにとっても特別な存在なのかがよくわかるアイテムです。

さて、今回の「気になるバイクをピックアップ!」スズキ・ハヤブサ1300(2021年式)編はいかがでしたでしょうか。

前篇でも触れたとおり、初代ハヤブサが登場した1990年代末期は大排気量最高速系スポーツツアラーというカテゴリーのライバルが多数存在していましたが、最大のライバルだったカワサキ・ZX-14Rが絶版になったのを最後に、スズキ・ハヤブサ1300は同カテゴリー最後の存在となってしまいました。

しかしそれでもハヤブサというバイクは「メガスポーツ」として、というより唯一無二の「ハヤブサ」としてのアイデンティティを貫き続け、現在でも3代目として新しく登場できるほど多くのライダーに愛される孤高の存在となり現在に至ります。

この3代目のハヤブサが、これからまた新しく「ハヤブサ」というバイクの歴史を築いていくことでしょう。

それではお読みいただき、ありがとうございました。

また次回ありましたらぜひよろしくお願いします。

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