気になるバイクをピックアップ!vol.22【2/2】
みなさんこんにちは。カイザーベルクびわ湖の脇阪です。
今回は、「気になるバイクをピックアップ!」第22回「ヤマハMT-10」の後編となる「機構編」です。
それではまず、乗っているライダーがいちばんよく目にするメーターからです。
スタンダードのMT-10には、セグメント表示のモノクロ液晶メーターが装備されます。
「SP」でこそ、フルカラー液晶という非常にハイテクな装備を持っておりますが、スタンダードのモノクロ液晶メーターでもスピード・タコ・燃料・時計といった一般的な項目から、水温計・外気温計・トラクションコントロールの効き具合やエンジン出力モードの表示、さらにはギアポジションインジケーターやシフトタイミングインジケーター、エコ運転の表示機能まで備えております。
十分すぎます。
これだけあれば、公道で乗る場合においては何の不足も無いでしょう。
次に右ハンドルスイッチ周りです。
オーナーさんのカスタムにより、ハンドルガードとグリップヒーターが取り付けられております。
右ハンドルスイッチボックスには、ヤマハおなじみのセルスタータースイッチ併用型のキルスイッチの他、エンジン出力モード切替用のスイッチが中段に設けられております。
オーナーさんが付けられたマスコットとハンドルの間をご覧いただくと分かりますが、スタンダードのMT-10にはサスペンションの効きにまつわる様々な項目を調節できるフルアジャスタブルタイプのサスペンションが装備されております。
続いては左ハンドルスイッチボックスです。
シンプルな右側とは違い、左側には非常に多数のスイッチが設けられております。
一般的なバイクよりも増やされているスイッチの種類としては、スロットルから手を放しても一定の速度で走行を行なうクルーズコントロールの作動スイッチと速度調節スイッチ、そしてトラクションコントロールの効き具合を調節するスイッチが挙げられます。
アドベンチャーバイクや豪華装備クルーザー以外では採用がめずらしいクルーズコントロールをMT-10の全モデルに装備するあたり、メーカーがどれだけこのモデルにプライドを捧げているかが伺えます。
そして注目のエンジンです。
YZF-R1譲りの並列4気筒DOHC4バルブ・クロスプレーン・クランクエンジンです。
排気量は997㏄、最高出力は160ps/11500rpm、最大トルクは11.3kg-m/9000rpmです(いずれも国内仕様)。
ライバルとなりうる他のストリートファイター系ネイキッドと比べても、一つ抜けた性能を持っております。
バイクレースの最高峰「MotoGP」で活躍するレーサーバイク「YZR-M1」に採用されて以来、話題に尽きる事のないクロスプレーン・クランク採用型並列4気筒エンジンですが、その最大の特徴は何といっても力を加えた時の回転上昇のスムーズさにあります。
というのも、普通の並列4気筒(フラットプレーン・クランク採用)だったら常に一定のタイミング(クランクシャフトが2回転するまでの半回転ごとに1回)で燃焼して出力を発生させているのに対し、クロスプレーン・クランク採用型並列4気筒では不規則なタイミング(クランクシャフトが回転し始めて最初の3/4回転、そこから1/2回転、さらに1/4回転、最後に1/2回転でクランクシャフトは2回転、以降は繰り返し)で燃焼し、バラバラではありますがより緻密なタイミングで出力を発生させているのです。
これがクロスプレーン・クランクの秘密なのです。
MT-10はサーキットで誕生した技術を、スーパースポーツのYZF-R1よりもストリートで扱いやすく楽しめる存在ということで、その意義はとても大きいと思います。
最後に右後方からの写真です。
短いマフラーですがスイングアームピボット下にもサイレンサーチャンバーが設けられており、車検に通る範囲で十分迫力のあるサウンドを響かせてくれます。
パッと見は一般的な並列4気筒のエンジンですが、クロスプレーン・クランク採用のこのエンジンの排気音はやはり独特のものです。
例えるなら、かつてホンダが主力とし、今もVFR800などに搭載されている90°バンクのV型4気筒エンジンに近いものです。
それもそのはず、このクロスプレーン・エンジンとV型4気筒エンジンはほぼ同じタイミングで燃焼を行なっているからです。
普通の並列4気筒エンジンが「ズオオオオオオオ」っという音を立てるとしたら、このMT-10のエンジンは「ギョロロロロロロロ」といった感じの音を立てます。
さて、今回の「気になるバイクをピックアップ!」第22回となるヤマハMT-10の特集はいかがでしたでしょうか。
気筒数が違っても、よどみない回転で力強い走りを実現するというクロスプレーン・コンセプトはヤマハMTシリーズのどのモデルでも不変ですが、このMT-10は「The king of MT」とヤマハが標榜する通り、そのコンセプトの究極に位置する存在と言えるでしょう。
クロスプレーンの独特の走りと世界観を街中で、ツーリングで、高速道路で、ワインディングで、ぜひみなさんも体験されてみて下さい。